社員ブログ

2026.03.31 技術部情報 建物・設備 NEW

【MiraiNet】データセンターの環境監視を強化してみた ― 雨量センサー導入とノイズ対策の実践 ―

技術部 開発Tの伊藤です。

環境モニタリング強化の一環として雨量センサーを設置し、降雨データを継続的に取得できる仕組みを構築しました。

DC1およびDC2の屋上に転倒ます式の雨量計を設置しました。
この方式は、一定量の雨水が溜まるごとに内部のバケットが転倒し、その動きを接点のON/OFFとして検出するシンプルな構造です。
今回使用している機器では、0.5mmの降雨で1カウントとして扱われ、このパルスをGPIOで取り込むことで雨量を計測しています。

取得したデータは、10分単位および1時間単位で集計し、モニタリング画面に表示しています。
特に1時間の降雨量は降雨強度として扱い、一定の閾値を超えた場合には段階的な通知を行う設計としました。
これにより、外部環境の変化に応じた設備状態の確認を、定量的な指標に基づいて判断できるようになります。

一方で、実際に運用を開始してみると、屋外設置特有の課題にも直面しました。
初期構成ではGPIOに直接接続し、内部プルアップを用いたシンプルな回路としていましたが、約10mのケーブルを介した屋外環境、かつ空調設備が近接する条件では、安定した入力を維持することが難しい状態となっていました。
その結果、実際の降雨とは関係のないパルスが一定頻度で発生し、計測値に影響を与える事象が確認されました。

この現象は、長距離配線がアンテナのように振る舞い、周囲の電気ノイズを拾ってしまうことに起因しています。
内部プルアップは利便性が高い反面、インピーダンスが高く、こうした外乱の影響を受けやすい特性があります。
そのため、微小なノイズでも入力が変動してしまう状態となっていました。

こうした課題に対しては、回路構成を見直し、シンプルなアナログ対策を追加しています。今回採用した構成は以下の通りです。

・外部プルアップ抵抗:10kΩ
・入力直列抵抗:100Ω(保護用)
・ローパスフィルタ:0.22μF

それぞれの対策には明確な役割があります。
まず外部プルアップ抵抗は、内部プルアップよりも安定したバイアスを確保するためのものです。
長距離配線ではノイズの影響を受けやすくなるため、外部抵抗によって入力状態をしっかり固定することで耐性を向上させています。
次に入力の直列抵抗は、サージや突入電流からGPIOを保護する目的で追加しています。
屋外に引き出した配線では瞬間的な過電圧が発生する可能性があるため、小さな抵抗でも有効な保護手段となります。
さらに、コンデンサを追加してローパスフィルタを構成することで、高周波ノイズの除去を行っています。
この回路の時定数は約2.2ms(10kΩ × 0.22μF)となり、雨量計の機械的な接点動作には影響を与えず、ノイズ成分のみを効果的に抑制できる設定としています。
これらの対策を施した結果、誤カウントは大幅に低減され、安定した計測が可能となりました。
屋外環境におけるセンサー入力では、デジタル処理だけに頼るのではなく、シンプルなアナログ的アプローチが有効であることを改めて実感しています。

特に屋外環境では、わずかな回路の工夫が大きな差を生む場面も少なくありません。
現場の実感としては、「屋外はアナログが勝つ」という一言に尽きます。